ぶんぶく堂の商品、海外へ

お雛様の頃からあっという間にこいのぼりの時期も過ぎて、例年にない早さで九州は梅雨入りしてしまいました。木工には大敵の湿気。早く梅雨入りしたからといって、その分早く梅雨が明けることもあまりなさそうで。少し気が重い季節が長引きそうです。ですがありがたいことに次の展示会の開催時期のお問い合わせも時々いただくようになり、楽しみにしてもらえていることがとても励みになっています。コロナの波を見ながら、次の開催時期を決めようと思います。特注品も例年と変わらず様々なご注文をいただき、ひとつづつ制作する毎日が続いています。

 

タイトルにもしていますが、少し遡って制作したもののご紹介です。

 

 

こちらは、香港にあるミシュラン二つ星のフレンチレストランからのご依頼で制作した包丁スタンドです。といってももちろん香港から直接オーダーが来たわけではなく、レストランのシェフとぶんぶく堂、共通の知人の方からのご紹介でこのご依頼を受けることになりました。そちらのレストランでは日本の食材が主に使われていて、シェフはとても親日家であるという話を最初に聞きました。ですので包丁スタンドも日本の材木(できれば福岡の)を使ってほしい、また湿度の高い香港でもカビが生えず長く使えるような塗装をしてほしい、とのことでした。

 

ぶんぶく堂で主に使っている材はアメリカ材の広葉樹になりますが、近所で伐採された丸太を製材して使うこともありますし、国産の材が手に入る時はその都度興味を持って仕入れてもきました。日本にいながら、意外と家具に使える日本の材を仕入れるというのは難しく、こういう依頼を受けられる工房は少ないのかもしれません。今回は以前から好きで使っている福岡県の京築ヒノキという材を用いることにしました。ヒノキは元々抗菌作用を持つ材でもあるので、カビや湿気に対応するにも良い材だと判断しました。この写真は香港へ送った後、実際に包丁を掛けてシェフが撮ってくださったものです。シェフ個人のInstagramにも上げてくださり、メールのやり取りでもとても気に入ってもらえたことが伝わってきました。

 

 

こちらが包丁を掛けていない時の状態。高さは45cmほどあります。わざわざ日本の材で、日本で作られたものを欲しいと言ってくださっているからにはと、私もいくつかご提案する形には和の要素を入れようと心がけました。包丁を置いていない時、置いた時にシルエットがどんなふうに見えるか。シェフが実際に使われている包丁の写真をいただいて、10分の1サイズの図面の中で小さな包丁を何度も並べてイメージしました。気に入っていただけたことが何よりです。塗装もしっかり施したので、これから高い湿度の中でも長く愛用していただけるものになったと思います^^