15周年

先月、ぶんぶく堂は地味に15周年を迎えました。25歳で開業した私も、なんと40歳。

 

びっくりするほどあっという間で、でも振り返ると実にいろんなことをしてきたなぁと

 

いう思いもあります。15年前と今とでは、変わらないことの方が多いかもしれませんが

 

一つだけ大きく変わったことは、木工がどんな仕事かという概念でしょうか。

 

そもそも木工という仕事は、自分一人で完結してできるというところがとても魅力的だ

 

と思っていました。15年前に仕事を始めた時に、県立美術館の大きな部屋を借りて展示

 

会をしました。ギャラリーを借りることもできましたが、展示のみで販売をしてはいけ

 

ないという美術館の決まりが、無理に営業できない自分にはぴったりなような気がして。

 

そこでじっくり見てくださった方々からは、その後4年間にも渡ってご注文をいただく

 

こととなりました。結婚して夫と一緒に今の仕事をするようになり、かつて祖父母が住

 

んでいた古民家を展示場にさせてもらってからというもの、月に2日間だけではあります

 

が、じっくりゆったり色んなものを見ながら楽しく過ごしてもらえる場所になればなぁ


という15年前の美術館にも似たような思いで続けています。その中で先ほどの一つだけ

 

大きく変わった部分というのは、ものを作ることだけが楽しいと信じていた昔と違って

 

今は自分が作ったものを楽しみに見にきてくださる方々とお会いできること、おしゃべり

 

できることが何よりの嬉しさになっているという点です。同じように木工をする人、家具

 

を作る人でも、販売店に卸すような仕事の方は直接お客様とはやり取りできません。

 

まさに、自分一人が作りさえすれば成り立つ仕事です。そこを目指して始めたつもりなの

 

に、手探りで進んでいるうちに、お客様との関わり無しでは成り立たない今の場所が、い

 

つの間にか本当に心地よいと感じるようになっていました。

 

数年前からは年に1〜2回百貨店にも呼んでいただいていますが、そこでもやはり似ている

 

のは、自分たちが作ったものに足を止めてくださる初めてお会いする方々と、商品を通して

 

色んなお話しができるということです。お互いが偶然そこに居合わせるというご縁から、そ

 

の後、遠く離れた東区の展示場まで足を運んでくださった方も何人もいらっしゃいます。

 

 

 

 

そしてこんなふうに、納品後の様子をお伝えくださる方の優しさに触れることだって

 

なかなかできることではありません。展示会に来てくださる方、打ち合わせでお見えに

 

なる方、そして納品後の様子を知らせてくださる方。ものづくりとこの環境がなければ

 

出会えなかったであろうたくさんの方々との関わりが、15年をあっという間だったと

 

言わせてくれるほどの自分の糧になっているのだなぁと思います。木工の概念は『一人

 

でコツコツできる楽しい仕事』から『自分たちの生み出すものに興味を持ってくださる

 

方々と関われる楽しい仕事』に変化してきた15年です。お世話になった全ての人に心か

 

ら感謝申し上げます。そして夫婦二人でどこまでやれるか、まだまだこれからも色々挑

 

戦していきたいと思っています。限られたペースで、他店よりも納品までお待ちいただ

 

くこともあるかと思いますが、ぶんぶく堂に頼んでよかったと言ってもらえることを何

 

よりの念頭に、16年目も頑張ってまいります。この夏は展示場の更なる充実も目指して

 

いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

1