2015.03.26 Thursday
特注家具屋ならではの進化を
だいぶ春らしい気候になってきました。前回の日記以降は、大きな家具の制作が
続いています。
2月に納品した商品のご紹介です。少し変わった形をしている箪笥?のようなこの箱。
引き出しを開けて、引き抜いた前板でフタをしていくと、、、
このような五段の段差が出来上がります。引き出しの中には、、、
きっちりサイズを合わせて仕切りが。中には、お人形と飾りが入っています。
実はこれ、ひな壇なのです。去年の夏にお客様からご相談を受けて、毎日頭の片隅に
このことを考えながら過ごしていました。お孫さんへの初節句に合わせて、現代の住宅
事情でも飾れる&コンパクトに収納できるひな壇を、というご要望でした。
『必要なものを全て収納』できて、『五段になる』という二つをテーマにあれこれイメージ
を膨らませました。お雛様の時期以外は飾り棚として使えて、一番上の引き出しは普段
使う物を収納できるようにスペースも確保しています。
とても楽しい時間でした。いつも家具を作っているときとは少し違う脳ミソを使っている
ようなその感覚は、学生時代にはよく経験したものです。目的だけが決まっていて、
そこから形を自由に考えるという作業。久しぶりに頭が活性化した気がします[E:flair]
それからこちらは新築のお宅への家具の納品の様子。この壁一面のスペースに合わせ
てテレビ台とキャビネットを制作予定です。まずは半分のスペースを使ってテレビ台。
チェリー材を使って制作しました。木肌がとても綺麗でした。チェリーは日の光を浴びると
濃い飴色に変化していきます。毎日見ながら過ごしているとなかなかその変化に気付け
ませんが、次のキャビネットを納めるまでに少し時間が空くので、色の変化が分かるかも
しれませんね。
こちらも同じくテレビ台ですが、素材と形がガラッと違います。こちらはナラ材を使用し、
お客様のご要望で一枚板のように見えるような扉に。脚も付けて床から浮かせました。
一見シンプルに見えますが、無垢材をそのまま一枚で使うことは、とても難しい事です。
木の反りを止める工夫をどこにどのように施すか、色々と考えながら制作しました。
背板ももちろん無垢材。取り外せて、、、
中に空間を作ることで、配線を束ねて収納できるようになっています。お客様のご要望で
このような構造になったのですが、それにより私自身も様々な市販の家具を見て勉強する
とても良い機会となりました。
最後にこちらはカッティングボード。カタログ等に載せるために、写真撮影をしました。
上に乗せるものによって、木の表情がその都度変わります。作者自身がそれを楽しむ
ことが、ものづくりの原点のような気がします。
今回ご紹介したものは、定番商品を作っている中ではどれも経験できないことです。
お客様とのやり取りの中や、自分たちで使って気付いたり。そうやって生まれる形や
その経験自体を大事に、進化し続けていきたいものです。