2014.11.27 Thursday
実は分割してあるんです
毎月展示会間際でしかこの日記も更新できていませんが、その分制作はブンブン行なわ
れています。前回の日記で少しお話ししていた巨大な食器棚、ついに完成です。
ぶんぶく史上最大の大きさでした。もちろんこの大きさで作っては運ぶことも家の中に入れ
ることもできませんので、分割して作ります。今回は6分割。小振りの食器棚を6個作ったこ
とになります。うん、そりゃでかいはず。
6個のパーツのうちの2つを置いた段階で写真を撮ってみました。うちの狭い工房では仮組
みしかできなかったので、扉や引き出しが入って壁一面で見ると、自分で作っておきながら
ですがあまりの大きさにちょっとびっくりしました。背板や棚板などにもベニヤは使わず全て
ウォールナットの無垢材で仕上げています。そしてとにかくすごい収納量。お客様も、これ
から食器を並べるのが楽しみだと喜んで下さいました。
そしてこちらは別のお宅に納品した、杉の収納。カウンターの下のスペースをうまく使えな
いかということでご相談いただきました。ぶんぶく堂の展示場はこの杉をディスプレイに
使っているのですが、それをご覧になられたお客様からのご要望でした。普段は硬い広葉
樹を主に使っていますが、個人的にこの綺麗な柾目の杉の表情も大好きです。木の香りも
本当に体に染みてくる独特の心地よさがあります。けれど杉は木肌が柔らかいという難点
もあります。なのでテーブルや椅子のように毎日人が触りその上で物を動かしたり引きずっ
たり、時には何かをぶつけてしまうようなものには不向きだと考えます。ですが家の構造材
になるくらいですから、壁の一部に溶け込むような使い方には最適だと思います。杉の良さ
を最大限に活かす以外にもう一つ考えたことは、横幅2500mmのこの収納をどうやってマン
ションの上まで運び入れたのか、不思議に思ってもらえるくらい一つのカタマリに見えること
を目指しました。実はこれ、いくつものパーツを運び込み現場で組み立てました。やむを得
ずビスも使っていますが、覗き込まないと見えないような場所にのみ、です。いくつのパー
ツに分けて、どういう構造にするか、私の場合、それは図面上ではほとんど考えません。
全体像のラフスケッチは描きますが、どこでどう分割して作るかは、実は他の家具を作って
いるときか、全く違うことをしているときに思い浮かびます。家具作りは頭で考えずに機械
的に体だけを動かさなくてはいけない時間が多々あるので、そういうときに私の頭の中の
半分は、次の大きな家具をいかに効率よく作るかということになっていたりします。もちろん
危なくない作業中でのお話です。
そして明日からは月末3日間の展示会スタートです。今年もあと一ヶ月とちょっと。でも福岡
は実に寒くない日が続いています。信じられないことに、一昨日は庭で蚊に刺されました。
お天気もこの週末は崩れるようですが、庭には蚊もいるかもしれませんが、ちょうど見頃の
紅葉とともに、皆様のお越しをお待ちしております。